幼い頃、目の前の人が喜んでくれるのが嬉しくて、夢中で漫画やイラストを描いていました。
私の原点は、そんな純粋な「誰かの笑顔」にあります。
しかし、美術短大で目の当たりにしたのは、圧倒されるような周囲の才能。
「自分には何もない」と自己否定感が湧き、描くことから距離を置きました。
それでも絵に関わりたくて選んだ画材店での仕事。
描く時間は減っても、誰かの表現を支える日々に充足感を感じていました。
プライベートも充実し、結婚、妊娠、そして育児を楽しみにしていました。
娘が生まれて3か月の頃。
夫が精神疾患で倒れ、私の生活は一変しました。
慣れない育児と仕事、そして先に見えない夫の病で自己否定感は益々強くなっていきました。
不安に押しつぶされそうな毎日を支えてくれたのは、育児の記録として描き始めた子育ての漫画でした。
共に作ることを楽しむ友人との繋がりが、孤独だった私の心をどれほど救ってくれたか分かりません。
そんな中で自身の働き方について考えるようになりました。
「「家族のため、お金のために疲弊するだけの人生でいいの?」
「自分の力を信じずに終わって、後悔しない?」
心の奥底にある小さな声が、日増しに大きくなっていきました。
転機になったのはそれから数年後。
保育園の役員で作ったポスターでした。
それを見た子どもたちや保護者の方々が、目を輝かせて喜んでくれたのです。
「自分の絵でも人を喜ばせることができるんだ」
驚きと喜びで涙が出そうな位に感動。
それを境に制作の仕事に携わることを深く考えるようになりました。
でも、制作のキャリアなんて、何ひとつない。
スキルアップしたくても、時間もお金も、何より自分を信じる勇気がありませんでした。
当時の私は、今よりもずっと心が脆く、無理をしては倒れ、力不足を感じては自分を責める。
そんな悪循環の中では、集客や営業もまともにできませんでした。
けれど、そんな私に『あなたにお願いしたい』と言ってくださるお客様が現れたのです。
『この人の期待にだけは、どうしても応えたい』
その一心で、目の前のご依頼にひとつずつ、丁寧に向き合い続けました。
小さな『できた』を積み重ねることで、失っていた自己肯定感を、ゆっくり、ゆっくりと再生させていったのです。
そんな中、夫の体調も少しずつ回復し、再び働けるまでに快方へ向かいました。
暗闇の中にいた家族の暮らしに、ようやく穏やかな光が差し込み、経済的にも精神的にも、落ち着いた日々を取り戻していくことができました。
2020年、世界が止まったコロナ禍。
私は「自分のために」行動することを決めました。
1クールの半年間、欠かさず描き続けた朝ドラのファンアート。
そしてその後の半年に7キロのダイエットにも成功。
「誰かの期待」ではなく「自分の決意」を守り抜いた経験が、失っていた自己肯定感を取り戻してくれました。
もっとモノづくりと向き合いたい。
そうして始めた制作の仕事でしたが、現実は甘くありませんでした。
周りと比べては落ち込み、空回りしてばかり。
さらには会社の業績悪化という不可抗力まで重なり、思うようにいかない日々が続きました。
「作る仕事はもう、諦めた方がいいのかな」
そう思い始めていた時、家族が気づかせてくれたのが「自分を大事にする」という感覚でした。
「お絵かきムービー®」とは、そんな時に運命的に出会いました。
見た瞬間に湧き上がる「これをやってみたい」という純粋な想い。
「これが、私のラストチャンスだ」そんな想いを胸に抱き、今度こそと歩み出しました。
今、目の前にあることを、ひとつひとつ、精一杯やっていく。
遠回りした私だからこそ描ける物語があるはず。
このささやかで揺るぎない情熱を胸に、私は今日もペンを握ります。